取り扱い印材について

取り扱う印鑑の材質

印鑑は、色や柄、重量、朱肉の付きのよさ、耐摩耗性、彫刻のしやすさなど、素材によってさまざまな特性を持っています。当店では、大きく分けて「伝統印材」と「鉱物印材」を取り扱っています。

(1)伝統印材

昔から親しまれてきた日本の伝統的な天然素材です。印鑑素材としての品質や使い心地など、長く愛されてきた納得の印材を厳選し、当店では「本つげ」「黒水牛」「牛角白」の3種類をご用意しています。

薩摩本つげ・黒水牛・牛角白

(2)鉱物印材

ギフトシーン、とりわけ女性への贈り物として喜んでいただける素材として石系素材や、男性向けの金属系の素材もご用意しています。運気や意味を持つストーン印材は節目や門出のお守りとしても。女性には、愛情運のローズクォーツ印鑑や、家族運の紫メノウ印鑑が、男性には、仕事運上昇のタイガーアイ印鑑や、当店オリジナルの金属製クラッドメタル印鑑が好まれています。

薩摩本つげ・黒水牛・牛角白

それぞれの材質の特長

本つげ

本つげはすべて国内産の本つげを使用

非常に硬く、緻密性に優れ、細かな細工に適していることから、昔から櫛(くし)や将棋の駒などに使われてきました。日本人に長らく愛され続ける、木系の中では最も印鑑に適した素材です。本つげは、油分を多く含み粘りがあるため、細かい文字の彫刻が映える材質。堅さと緻密さのバランスが最も印鑑彫刻に合います。木材ゆえの自然で温かみある質感が手に馴染み、やわらかい押し心地や味わい深い木目の美しさが好まれています。

ツゲ科・ツゲ属に属する国内産の印材のみを「柘(つげ)」、特に「本柘植(つげ)」と呼びます。タイ周辺から輸入された印材は柘植は「アカネ」と呼び、国内産の「柘植」とは区別して表示されます。

当店の木材印材は、全て国内産の本つげを使用しています。その中でも鹿児島県産の「薩摩本柘植」のみを取り扱い、四代目・五代目自らが産地である頴娃町(えいちょう)の製造元にて確かめた良材を厳選して買い付けています。

本つげの仕入れのこだわりについて

長期間のご使用の際に朱肉の成分により外枠がもろくなることもあります。ご使用後は朱肉をふき取るよう心掛けるとより長持ちします。

黒水牛

黒水牛はすべて「芯持ち」印材を使用

東南アジア、インド、アフリカ産の水牛の角を使用した黒水牛は、朱肉のつきも良く丈夫で、印材としては最もポピュラーな印鑑の優等生です。

水牛の「芯持ち」と呼ばれる部位は良質で粘りがあり、天然素材の宿命である経年によるひび割れやゆがみが少なく、印材に適していると言われています。角の芯を印材の芯に合わせて切り出した「芯持ち」印材、特に密度が高い先端に近い中心部は印材としてたいへん良質です。しかし、一本の角からごく少量しか切り出すことができません。当店で使用する黒水牛は芯持ち印材のみ、中でも国内製造元の問屋から厳選した逸品を取り扱っています。

牛角白

牛角白はすべて「芯持ち」印材を使用

落着きのある飴色を基調とした艶やかで気品ある逸品です。ち密で粘りが強いことから、丈夫で押し心地の良い素材です。オランダの植民地だったタイなどから産出されたので、かつては「オランダ水牛」とも呼ばれていました。現在は、産地の誤解が生じないよう「牛角白」と名称が変わりました。

牛角白の印材は部位や個体によって、飴色や灰色などの色目や濃淡、縞模様のある無しなど個性が楽しめます。当店では、国内製造元の問屋から「芯持ち」印材のみを厳選し、色や模様のバリエーションからお好みのものをお選びいただけるようご用意しています。

※芯持ち印材について

芯が大きく良質なため、ヒビが入りにくいというメリットがありますが、まれに大きな芯の部分が時間を経ることでへこむことがあります。当店では十分に寝かせた印材を使用し、へこみが起きないよう配慮していますが、芯の大きな「高級物」ほどへこみが生じる可能性も高いと言われています。万が一、そのようなことがありましたら、まずは弊社までお問合せください。また、天然素材のため、太陽光や照明の下では乾燥してヒビが入ることがあります。長期保存の場合は桐箱に入れて大切に保管してください。

角の中心部のみを使用する「芯持ち」は強度が高い

紅水晶

女性のための愛情と幸せの守護石

幸せな人生を願う女性のための「愛の守護石」。あふれるような愛情や優しさ、心身の美を司るといわれることから、女性の人生の門出や、大切な女性への贈り物としてもお喜びいただけます。優しいミルキーピンクが特徴です。愛に満ちた人生をと願いって、ご結婚のお祝いやプロポーズ、赤ちゃんへのお祝いなどにもおすすめです。

*天然石のため、一点一点ピンク色の色味や模様の現れ方が異なります。

虎目石(タイガーアイ)(縦目)

金運・仕事運・先見の明を高める

縞模様が虎の目のように輝くことから「虎目石」と呼ばれるタイガーアイ印鑑。きらめく一筋の光は、すべてを見通す「心の眼」。先見の明をもたらし、危険をも察知する鋭い感覚で、判断力や決断力をクリアに働かせます。金運・仕事運の上昇や目的達成を守護し、持つ人の能力を引き出し、ビジネスでの成功や事業発展へともたらすといわれています。働く男性におすすめの印材です(横目の印材をご希望の場合は お問い合わせください)。

*天然石のため、一点一点色や模様が異なります。その石の個性としてお楽しみください。

魔除けの力と強い幸運を引き寄せる力を合わせ持つラピスラズリは、古来よりお守りとして珍重されてきました。夢への道のりは幾多の試練もあるもの。目標へと挑む人に、その前向きな努力に力を貸してくれるラピスラズリ印鑑は、不安な時も手に取ればそっと勇気がみなぎるでしょう。受験や就職、事業発展など、試練に打ち勝つ力と大きな幸運をもたらすといわれています。

*天然石のため、一点一点色や模様が異なります。その石の個性としてお楽しみください。

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gene(ジェーネ)

欠けない朽ちない金属製印鑑

確固たる決意と、揺るぎない誇りを象徴する当店オリジナルのクラッドメタル製印鑑。メガネフレームシェア日本一の鯖江ならではのメガネのフレーム加工技術と越前打刃物の熟練の鍛造技術で生まれた逸品です。約70層もの鋼を幾重にも重ね圧縮して浮かび上がる神秘のダマスカス鋼模様は、ひとつとして同じものは生まれません。「欠けない」「朽ちない」金属製高級印鑑は、上質を求め、日々多くの決断の場面に立つ経営者にこそふさわしい特別な逸品です。

*鋼を鍛造する工程のため、一本一本の模様が異なります。

翡翠(ヒスイ)

人生の成功や発展を守護する

人生の成功を守護する石といわれ、平和・長寿・健康・徳を呼び込む翡翠印鑑。持つ人の内面的な徳を高めあらゆる幸運をもたらし、人生の成功や事業の繁栄へと導くことから、中国では最も大切な人に贈る最上の石とされてきました。「望むすべてを叶える」ともいわれるほどの強い力から、厄除けやお守り代わりに 生まれたことから、厄除けやお守り代わりに持つ方もいらっしゃいます。

*天然石のため、一点一点色や模様が異なります。 天然の翡翠は、微細な結晶の集合体であるため割れにくい性質があります。

本つげの仕入れのこだわり

当店のつげ印材は、すべて国産(鹿児島県産)の薩摩本柘植を使用しています。小林大伸堂では、4代目小林照明と5代目小林稔明が、自ら製造元に出向いて目利きをし、間違いないと確信した印材しか取り扱っていません。本つげ印材を仕入れるために、たびたび鹿児島県南九州市を訪れます。

薩摩つげはすべて計画的に植林

最高の品質と最高の素材を求めて、まず訪れるのは鹿児島県南九州市頴娃町(えいちょう)という人口1万5千人ほどの小さな町です(訪問当時は南九州市頴娃町)。はじめて訪れたときには、薩摩地方ではつげの木を植林していると聞いていたため、訪問する前はてっきり山の奥にたくさんのつげの木が植林されているものとばかり思っていました。しかし、実際には農家の庭先や畑のとなりや休耕地など、家のまわりの平地や小高い丘の上に整然と植林されていてびっくりしました。
薩摩地方では、200年ほど前から柘植の櫛(くし)や将棋の駒、そろばんの珠、近年では印鑑の材料として農家の皆さんと製材業者が計画的に植林をして、「つげのまち」としての歴史と伝統を守り続けているそうです。

鹿児島県頴娃町で植林されるつげの木

苗木を育てる農家、さし木をして7、8年経ったものを畑や庭先に植えて手入れをして育てる農家、そして製材する業者が一体となり、20年ほどのサイクルですべてを植林でまかなっています。自然木のつげの木はほとんどなく、すべてが植林なので自然破壊や環境を破壊することがまったくなく、安定した印材を供給することができるのです。
一方、輸入されている「アカネ」と呼ばれる、つげに似ている木材は、自然木を切り倒して加工されているので、自然破壊・森林破壊につながる点が懸念されます。

植林したばかりの本つげ(左:2009年)と、10年後の本つげ(右:2019年)。同じ場所で撮影。

本つげの製造加工におけるこだわり

植林から20年ほど過ぎると、いよいよ伐採され製材業者に渡すことになります。大きく成長したつげの木は、9月以降に仕入れ1メートルほどの大きさに切りそろえた後、2階の倉庫にて約1ヶ月ほど寝かします。十分安定した木材の皮を丁寧に削り取ったあと7センチの高さに切りそろえられます(直径約20センチ)。

  • 成長したつげの木は1ヶ月寝かせる
  • 木材の皮は削り取られる
  • 約7センチの高さに切りそろえる
  • 断面の様子

その後、手作業で電動のこぎりを使い、印材のサイズ通りの角材に切り揃えられていきます。それは、まさに神業、職人の作業。正確ですばやく次々に切られていきます。よく指を切らないものだと感心することしきり。切り揃えられた角材は、さらに屋上にて天日で2週間ほど乾燥させます。南国の日光と潮風に当てることによって印材に狂いが生じなくなるそうです。

  • 電動のこぎりで角材を印材サイズに切る
  • 切り揃えられた角材は2週間乾燥させる
  • 熟練した職人の「みがき」と「検品作業」を経た印材

製造加工の後、実は、「キズや割れ目」が出ている材料はほとんどが焼却処分されてしまうそうです。ここにも、大変なこだわりがありました。とてももったいないと思いますが、ここで妥協をすることによって薩摩本つげの「質」が低下して価格が落ち、結局は栽培農家さんや印材業者にとってマイナスとなるため、本当に質のよい商材のみを出荷しているのです。薩摩本つげが、「世界で最も高い木」と言われるゆえんがここにありました。

  • 焼却処分される木片
  • 選別された木くず

持続可能な取り組みで伝統を受け継ぐ

産地では、つげ印材の植林から製造加工まで一貫した「自然にやさしい取り組み」が行われています。小林大伸堂でも、植林活動をはじめとする持続可能な取り組みに貢献し、日本のすばらしい伝統を次代にまで継承していきたいと強く感じました。そして、届いた印材を小林が1本1本丁寧に心を込めてお彫りすることによって、印鑑として皆様に喜ばれ、末永くお使いいただけるものを作っていきたいと考えています。

(小林大伸堂4代目小林照明、5代目小林稔明)

鉱物印材の仕入れのこだわり

ストーン素材は現地で直接取引

鉱物印材の中でも、「ストーン素材」については、中国・香港・日本の信頼のおける製造元・卸業者とのみ取引をしています。例えば翡翠(ひすい)印材は、信頼のおける製造加工業者を厳選し、直接買い付けしています。ミャンマーの採掘場から直接調達した翡翠を取り扱う香港の翡翠専門店ゆえ、産地から加工、仕入れまでを一気通貫で行うことができます。

また、翡翠以外にも、10年以上お付き合いのある香港の製造元にも何度も足を運んでいます。自社工場にてジュエリー向けに加工し香港から世界へ輸出している、高品質なストーンを取り扱うメーカーです。香港現地へ直接伺うことで、ローズクォーツ、タイガーアイ、ラピスラズリ、ブルーレースなど天然のストーン印材についてどこにも負けない素晴らしい印材を供給していただける信頼関係を結ぶことができました。

仕入れた印材は、天然石ですので一本一本表情に個性があります。色目の良しあしや印材としての品質(長さや円の形が一様であること)など、必ず当店のスタッフが目視と手触りで確認し、一本一本を厳選しています。

  • 高級な1点物の素材を扱う香港の翡翠専門店。
  • 素材が高品質で作り手の顔が見える。
  • 10年以上付き合いのある香港の製造元で厳選。
  • 宝石用として厳選された原石を印材用として使う。

鯖江の技術を結集した金属素材

鉱物印材の中でも、「金属素材」については、当店オリジナル開発のクラッドメタル金属印鑑をご用意しています。約70層もの金属を圧縮して作り上げられた金属印鑑の最高峰・クラッドメタル印鑑。地場産業である「越前打ち刃物」の鍛造(たんぞう)技術と、眼鏡王国・鯖江で指折りの技術を持つ株式会社西村金属の加工技術により実現できた、職人の意匠あふれる逸品です。
ハッと驚くほどの重厚感・一本一本異なる表情をみせる美しい模様。そして、決して欠けることのない強靭なボディは、従来の印鑑のイメージを覆すでしょう。新たな挑戦へと向かおうとする方、大きな責任ある立場に立たれる方におすすめしたい風格あふれる印材です。

  • 美しいダマスク模様が特長
  • クラッドメタル素材で抜群の強度と押しやすさも特長

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